2日後、彼女からは全く連絡が無い。
たまらず電話をかけるが携帯の電源が入っていなかった。
自宅の電話番号にかけてみる。一人の女性が電話にでた。
「あの、夜分すみません。□□さんはいらっしゃいますか」・・
女性はちょっと困ったような感じで少し黙っていた。
女性:「あの、どういったご関係の方でしょうか?」
俺:「友人なのですが」
彼女は俺の事や名前は全く家族に話していなかったらしい。
女性:「あのー、すみません、、、、、ご友人の方・・・」
女性:「そ、□□は亡くなったんです。」
俺:「え?」
俺:「え?」
俺:「え?」
女は俺の事や名前は全く家族に話していなかったらしい。
この女性は何を言っているんだろう?電話は切れていた。
俺は、前に聞いた彼女の住所を思い出した。家のドアを叩き開け飛び出す。
俺の愛車はいつもの場所にあった。エンジンを掛ける。
いつもは念入りに暖機運転をしていたが、今日はしなかった。
彼女の家の前に差し掛かると、玄関先には通夜の準備らしい物が並んでいた。
俺は素通りしか出来なかった。事の真意を知りたい気持ちを抑えながらひたすら我慢した。
「何が起こったんだ?」「なんで?」
葬儀業者の職員が玄関先に看板を立てかけようとしている。□□の名前が書かれてあった。
何があったのか、たまたま近所の人が道路上に居たので聞いた。彼女はバイクで交通事故に合い、亡くなった。
俺はどうやって家に帰ったのか覚えていない。バイクのキーはいつものように机の上にあった。
そして、その横には先日二人で買ったグラスが置いてある。
夜が明けた。俺は何か「行かなくちゃ」という気持ちになった。
だが、ご両親は俺のことを知らない。知ったら俺と□□はバイク友達だったと言うことが知れてしまう。
ご両親の気持ちを考えれば、とても行けない。
俺は彼女の家を出た霊柩車を追いかけた。彼女と一緒にツーリングに行った同じバイク。
斎場の隠れた場所にバイクを置き、影から見ていた。
煙突から陽炎のような煙が見えた。
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